パーシャルレップ法をマスターする。
パーシャルレップ法とは
パーシャルレップ法とは、動作範囲を制限して筋肉のテンション(緊張)を増大させ、筋肉へ最大限のオーバーロードをかけることができるテクニックです。
パーシャルレップ法は勘違いして覚えている方も多い
トレーニングテクニックの1つです。
その理由は、トレーニングで通常パーシャルレップと言われるのは、セットで指定レップを完了して限界に達したところで、動作範囲を制限してさらに3レップ行うテクニックを指しているためです。
しかしパーシャルレップ法は、セットの最初のレップから最後までパーシャルで行い、全可動域では行いません。
つまり、通常パーシャルレップと言われているのは、指定レップを完了した後、限界を超えてセットを延長して動作を続ける方法であり、これはウイダー原則では燃焼法と呼ばれています。
パーシャルレップ法で使う種目
パーシャルレップ法が適している代表的な種目にデッドリフトがあります。
ボディビルトレーニングでは、デッドリフトは全可動域で行うよりも、トップサイド・デッドリフトのように動作範囲を狭めて行う方が効果が高いといわれています。
その理由は、動作範囲の上半分だけを使うトップサイド・デッドリフトでは、下半身への刺激が抑えられ、背中と僧帽筋へピンポイントで負荷を与えられるためです。
しかし、パーシャルレップ法が効果を上げるのはデッドリフトのようなコンパウンド系(多関節種目)だけではありません。
筋肉を強く収縮させる局面を持つアイソレーション系(単関節種目)でも有効で、例えばラテラルレイズやバーベルカール、レッグエクステンションといった種目では、可動域の半分だけを使ってウェイトを下ろすと、筋肉の収縮をより強めることができるため、効果が高くなります。
〇 パーシャルレップ法が適さない種目
・ 動作スピードが速すぎるもの (パワークリーンなど)
・ 動作範囲が小さすぎるもの (シュラッグなど)
・ 小さい動作範囲ではメリットが少ないもの (スクワットなど)
パーシャルレップ法のルーティン
上腕二頭筋のルーティンでパーシャルレップ法を解説していきます。
■ シーテッド・バーベルカール 4セット 10~12レップ
バーは大腿までしか下ろせないので、動作範囲は自然と上半分だけで行うことになります。
■ EZバー・プリーチャーカール 4セット 10~12レップ
全可動域で動作を行います。
■ ケーブル・ハーフカール 4セット 10~12レップ
スタンディング、またライイングポジションで行います。スタンディングポジションで行う場合は、ローケーブルにバーを取り付け、ライイングポジションの場合はハイケーブルにバーを取り付けてフラットベンチに仰向けになって行います。どちらの場合もカールの可動域の上半分だけ(ハーフカール)で動作を行いましょう。
最初と最後の種目は可動域の半分だけの動作で行い、2種目目だけは全可動域で動作を行います。
パーシャルレップ法の応用『21レップ法』
パーシャルレップとフルレンジの動作を同じセットで組み合わせて行うこともとても有効です。
その代表的な方法が『21レップ法』になります。
21レップ法はバイセップカールを、可動域の下半分のみを使って7レップ行い、その後上半分の範囲で7レップ、最後に全可動域で7レップを行うという方法です。
ハーフレンジとフルレンジの組み合わせを様々なレップ数で、様々な種目に行うことができます。
21レップ法は有名なテクニックですが、21という数字に特別な意味はありません。
21レップではなく、15レップでもいいし、その他のレップ数で行っても良く、大事なのは、最初はハーフレップから始め、最後はフルレンジの動作で終えるという部分なのです。
21レップ法について詳しい記事はこちら
>>>21レップ法で筋肥大の停滞を打破する【21カール】
パーシャルレップ法のメリット
◆ 筋肉のテンションを持続できる
動作範囲の一部だけを使うことにより、筋肉のテンション(緊張)が弱まる局面を動作から除くことができます。
例えばバイセップスカールをフルレンジで行うと、動作のスタート時(腕をまっすぐ伸ばした状態)には上腕二頭筋のテンションが失われます。
しかし、動作範囲の上半分だけを使ってカールを行えば、上腕二頭筋のテンションが常に抜けなくなります。
◆ 複合動作で特定の筋群に重点を置く
複合動作を動作範囲の一部だけで行えば、複数のボディパートではなく、1つの筋群のみを重点的に働かせることができます。
例えば、ベンチプレスをパワーラックを使い、バーを5センチ程度のみ下ろす方法で行うと、上腕三頭筋の働きを大きくすることができます(胸と三角筋前部の働きが小さくなる)。
これは、ベンチプレスのロックアウト動作では、上腕三頭筋の働きが大半を占めるからです。
パーシャルレップ法のデメリット
◆ 適切な動作範囲で行うことが難しい
パーシャルレップ法を適切な動作範囲で行うのは意外と難しいです。
例えばパワーラックを使わずにデッドリフトでパーシャルレップ法を行うと、どこまで下ろすべきか判断するのが難しく、正しい位置を決めるのに迷って集中を失ったり、さらには背中を痛める危険性さえあります。
そのため、デッドリフトなどの種目では必ずパワーラックを使うようにしましょう。
あるいはパワーラックを使う必要がない種目では、補助についてもらうと適切な動作範囲で正しく動作を行うために役立ちます。
◆ 動作範囲が狭まる
パーシャルレップ法を常用していると筋肥大を妨げる恐れもあります。
一般的に全可動域で動作を行う方が動作範囲の一部のみを使うよりも筋肉の成長を引き出すことにつながります。
パーシャルレップ法はテクニックのバリエーションとして使い、1つのボディパートにつき1~2種目のみに適用するようにしましょう。
基本的にトレーニング種目はフルレンジで行うようにするべきです。
