トレーニング初期はトレーニングすればするほど筋肉が成長し、驚くほどの身体の変化がみられますが、3年以上トレーニング歴のあるような人は、筋肉の成長スピードもどんどん緩やかになり、初心者時代のような成長はみられなくなります。
理由として、筋発達の為の刺激に筋肉が適応してしまい、新鮮な刺激が得にくくなる為です。
筋肉への刺激の適応を防ぐために必要なのは今まで以上に強い刺激です。
しかし今まで扱ったことがないような高重量を使うことはケガのリスクを高めてしまう恐れもあるので、重量ではなく運動強度を高める必要があります。
強度を高める方法はさまざまありますが、今回はレップ数を増やすということについて考えてみましょう。
レップ数を増やすと言っても、30レップス、40レップスではありません。
身体に新鮮な刺激を高強度トレーニング
超ハイレップス、100レップスに挑戦しましょう。
超ハイレップス法とは
超ハイレップス法の歴史は意外と古く、20世紀初頭から多くのアスリートが行ってきた方法でもあります。
20レップス以上を行うやり方で筋肉を刺激し、筋力、筋持久力の向上にも効果を発揮し、さらに体脂肪の減量にも積極的に用いられてきた歴史があります。
昔から用いられていた超ハイレップス法ですが、ただ単にハイレップスでやればいいというわけではなく、特定のタイミングでうまく取り入れる必要があります。
超ハイレップス法を行うタイミング
超ハイレップス法を行うタイミングは『筋肉の発達が停滞したとき』です。
筋肉の発達が停滞したときに超ハイレップス法に切り替えることで、筋肉にいつもと違う新鮮な刺激を与え、停滞のスランプから抜け出すことができます。
超ハイレップス法のやり方
超ハイレップス法は様々なやり方があり、レップ数も人により様々です、多関節種目、単関節種目などバリエーションが色々ありますが、代表的なものを紹介します。
■ 10×10法、8×8法
◆ 特定の1部位に行う種目を3、4種目ずつ選択する。
◆ 各種目を8レップス×8セットまたは10レップス×10セットで行う。
◆ 1回のトレーニングで2部位を行う
(各部位に4種目行うなら1回のトレーニングで32+32=64セット)
◆ セット間インターバルは15~30秒。
◆ 1回のトレーニング時間は45分を目安に長くても1時間以内。
10×10法、8×8法は共に意図的に運動量を増やし、筋肉に流れ込む血液量を増加させ、強烈なパンプ感を引き出します。
■ ジャイアントセット
4つ以上の種目をインターバルなしで連続的に行うもので、弱点部位の克服、筋肉と神経の連動強化に効果を発揮します。
■ EDT(エスカレーティング・デンシティ・トレーニング)
EDTトレーニングとは、10~15分で100レップス以上の動作を繰り返し行う方法。
インターバルなしの連続スーパーセットです。
レップスを科学的に考える
遅筋繊維と速筋繊維
筋繊維には遅筋繊維と速筋繊維があります。
◆ 遅筋繊維 ー 細く持久的なパワーを発揮する筋繊維
◆ 速筋繊維 ー 太く瞬発的なパワーを発揮する筋繊維
そのため、筋肉をサイズアップさせたい人は速筋繊維を優先的に刺激するようなトレーニングが推奨されています。
ですが、ここにはちょっとした誤解があり、遅筋繊維は速筋繊維と比べると筋肥大の性質が弱いというだけで、遅筋繊維もしっかりと筋肥大を起こします。
トレーニングを数年続け、しっかりと速筋繊維が肥大して筋肥大の停滞期に入ってしまった場合、遅筋繊維に目を向けて更なる筋肥大を目指すためにも超ハイレップスが有効となります。
遅筋繊維の特徴
遅筋繊維は速筋繊維に比べて血液が流れ込みやすく、それにより大量の酸素を運ぶことができます。
そのため、遅筋繊維は持久的運動が強いのが特徴です。
この遅筋繊維の特徴を生かしたトレーニングが超ハイレップス法です。
逆に速筋繊維は高重量を扱った低~中レップスのトレーニングが適しています。
トレーニング上級者になればなるほど、レップス数を単一化せず、低レップス、中レップス、ハイレップス、超ハイレップスを満遍なく行うことが効果的となります。
100レップス法に挑戦
超ハイレップス法の注意事項
超ハイレップス法には4つの注意点があります。
◆ 1種目のみ行う
◆ 種目は単関節種目(アイソレーション種目)で行う
関節への負担を最小限にするためにも多関節種目(コンパウンド種目)ではなく、単関節種目(アイソレーション)種目で、自重種目でもよい。
◆ トレーニングの最後の種目として行う
超ハイレップス法は対象筋を限界まで追い込んで疲労させるため、トレーニング前半に行ってしまうと他の種目をこなせなくなってしまう。
◆ 1部位週1回のみで行う
限界まで疲労させるため、原則週一回とする。
超ハイレップス法のやり方
種目を選択したら、自覚的運動強度(RPE)の数値が4または5程度の重量を使い、まず25レップス行います。
※ 自覚的運動強度(RPE)…その人自身が感じる【楽さ】~【辛さ】を数値にして示したもの。数値が低ければ低いほど楽であり、上記で示した4または5程度の強度は、比較的楽な強度の負荷を示す。
その後10秒ほどインターバルを入れ、再び動作を再開します。
ここからは出来る限りレップスを続けますが、一時的な限界が来るたびに5~10秒ほどのインターバルを入れ、レップスを継続していきます。
インターバルを入れるたびに連続して行えるレップス数が少しずつ少なくなっていきますが、どれだけきつくなってきてもインターバルは15秒を超えないようにし、最終的に100レップスまで行って終了させます。
40~60レップスを過ぎたあたりからは続けるのが相当きつく感じると思いますが、そんな時はクラスターブリージングという呼吸法を行ってみましょう。
クラスターブリージング
クラスターブリージングはインターバル中に深呼吸を5回するという呼吸法です。
しかしクラスターブリージングを使っても100レップスはとてもきついです。
深呼吸5回じゃ間に合わない・・・と思うでしょう。
でもこれが超ハイレップス法の神髄なのです。
どんなにつらくても100レップス完遂するまで動作を強制的に再開し続けましょう。
もし、それでも途中で断念せざるを得なくなった場合は、負荷を軽くして動作を再開しましょう。
始めたら最後、確実に100レップスをやり遂げるのです。
100レップス法のコツとしては、一定のリズムを維持しながら動作を繰り返すことが重要で、スローレップスなどは行わず、軽快なリズムで行いましょう。
【100レップス法】超ハイレップス【選択種目】
100レップス法は単関節種目(アイソレーション種目)もしくは自重種目となります。
◆ 下半身種目
・ ゴブレットスクワット
・ レッグプレス
・ シ―テッド・レッグカール
◆ 上半身種目
・ プッシュアップ
・ サイドレイズ
・ マシンフライ(バタフライマシン、ペックデッキ)
・ トライセップス・プッシュダウン
・ ダンベル・サイドレイズ
・ シーテッド・ケーブルローイング
・ 45度ハイパーエクステンション
・ EZバーカール
