筋力トレーニング

トレーニングで筋肉の成長を阻む【5つの要因と対策】

ジムでハードにトレーニングした効果を無駄にしないためにも、基本的なトレーニングの原則にもう一度目を向けてみましょう。

トレーニング効果を低下させる原因は、やる気の問題、怪我の問題、スケジュールの問題など、人によって様々でしょう。

残念ながら、そのような問題を全て解決する方法はありません。

トレーニングに関連した問題が原因で成果の停滞が起こっているのであれば解決策はシンプルです。

問題の根本はほとんどが下記の3つ

・やりすぎ
・足りない
・やり方が間違っている

このような悪い習慣を断ち切り、トレーニングの立て直しを図ることが重要です。

この記事では、問題になることが最も多い5つの悪い習慣を挙げ、その対策をしていきます。

1、回復の重要性に注意を払っていない

回復はトレーニング後だけ注意すればいいわけではありません。

回復が不十分だと、ハードにトレーニングしても筋力は強くならないし、筋肥大もしません。

それだけでなく、体の反応も低下し、体脂肪を落とすことやシェイプを向上させることも難しくなるのです。

そして次のトレーニングを効果的に行うこともできなくなります。

回復の重要性についてはわかっているつもりでも、回復を常に注意するべき重要な問題だとは考えず、トレーニングのみ注意すれば良いと考えている人が多いのが事実。

筋肉を成長させていくには常に回復を考えていくことがカギになるということを忘れないようにしましょう。

2、食事、サプリメント等、栄養摂取を適切に行っていない

筋肉を成長させるために必要な栄養摂取についての理解が不足している人が多いようです。

タンパク質を多く摂る必要があることや、正しい食事を摂ることが体作り全般に重要だということは常識になってきましたが、筋肉をつけるために必要な次の2点を満たしていなければ、期待する成果を上げることは難しいでしょう。

① 筋肉を収縮させるためのエネルギー

筋肉を作るうえで重要なのが、筋収縮のためのエネルギー補給です。

筋肉を強く収縮させるために必要なのは
「クレアチン」+「βアラニン」+「カフェイン」

そして食事からしっかりと糖質を補給し、トレーニング中に必ず体内に十分な糖質量があるようにしておくことも重要です。

② 筋肉を作る材料となる栄養素

トレーニング前・中・後にワークアウトドリンクを摂ることは、筋肉の成長を最大限に促すためにとても重要です。

中でも2つの重要な栄養素が
「高GI食品」+「アミノ酸」

1, インスリン反応を高めるために高GI食品 ( 消化吸収の早い炭水化物 ) を摂り、筋肉への栄養素の取り込みが最大限促されるようにする。

2, 筋肉同化作用 (筋肉を作る働き) を促す物質を摂る。生理活性作用の高いペプチドやBCAA (分岐鎖アミノ酸) 、EAA (必須アミノ酸) などを摂り、筋肉の修復が最大限促されるようにする。

3、レップ数とセット数を適切に設定できていない

筋肥大のためのトレーニングには、バルクアップ、筋力強化、あるいはそれらの組み合わせなど様々な目的が設定されますが、目的に応じてレップ数とセット数の組み合わせは違います。

筋肥大を目標とする場合と挙上重量を増やす場合とでは、トレーニング内容は変わってくるのです。

高重量低回数トレーニングで筋肉のサイズアップができると考えている人が多いですが、使用重量が重くなるほど回復に要する時間が長くなります。

そして回復時間を長くするほど筋力発揮に適した筋繊維が重点的に活性化します。

また高重量を挙げるためには、足幅、グリップ、姿勢も高重量を挙げるために最適の方法で行う必要があり、それ以外の方法で行うことはできなくなります。

筋力強化のトレーニングは出来る限り高重量を挙げることだけを重点とし、筋肉のサイズアップや筋肉のシェイプ向上などを目的とはしていません。

筋肉のサイズアップを目的とする場合には、中程度の重量でトレーニング量 (セット数とレップ数の総数) に重点を置く必要があり、筋肉のシェイプ向上が目的であればターゲットの筋肉をアイソレートして重点的に複数の異なる角度から刺激する必要があります。

■ 大腿四頭筋の筋力強化を目的とする場合

スクワットを6~8レップが最大となる重量で行い、レッグエクステンションを8~10レップで大腿四頭筋の筋力を重点的に強化することができます。

大腿四頭筋の4つの筋頭全てを刺激するためにはレッグエクステンションの際、つま先を内側または外側に向ける方法で行い、それぞれ10~12レップのセットで鍛える方法をとります。

大腿四頭筋のサイズとシェイプを強化する目的ではハックスクワットで足のポジションを変え、大腿四頭筋の特定の部位をターゲットにして12レップ、4~5セットを行うようにします。

つまり、筋力強化にしろサイズアップやシェイプの向上を目的にするにしろ、使う種目は共通するのですが、レップ数とセット数の組み合わせ方を変えることになります。

筋力とサイズの両方を強化したいのであれば、筋力とサイズそれぞれを目的としたサイクルトレーニングの計画を立て、それぞれ6~8週間単位でトレーニングに取り組むようにします。

しかし目的が単純に筋力アップのみであれば、高重量低回数のトレーニングを淡々と続けていきます。

重要なのは、闇雲に高重量を挙げるのではなく、自分の目的をしっかりと理解し、それに適した方法をとることです。

4、関節可動域の範囲、テクニックを正しく理解していない

① 可動範囲を十分に使えていない

筋肉は関節の可動範囲が大きいほど強い刺激を与えることができます。

一般的に関節の可動域全体を使うということは、関節または筋肉を最大限に働かせ、これ以上は動かないという範囲のところまでになります。

使用重量が重すぎると、スティッキングポイント (最も強い力を発揮できる範囲) でしか負荷が乗らなくなり、可動域の最初と最後の動作の負荷は抜けてしまいます。

可動範囲が狭く負荷が乗っていないのに、自分では高重量を扱って効果的なトレーニングをしていると勘違いしている場合が多くあります。

このような勘違いを避けるためには原則として次のように考えます。

可動域全体を使って動作を行えない場合は、重量が重すぎると考えるようにしましょう。

ラットプルダウンやチンニングの動作の場合、重量が重過ぎるとバーが胸につくまで動作を行えていなかったり、筋肉を最大限ストレッチさせたポジションでは腋をまっすぐ伸ばせていなかったりしているはずです。

② 筋肉の収縮種目は最後に行う

21レップ法やチーティング、パンプ種目などのルーティンに変化をつけるテクニックは、基本的に可動域を狭めて行うテクニックであり、目的をしっかり理解して適切に取り入れないとトレーニング効果をマイナスにしてしまう可能性もあります。

例えば可動域の半分で動作を行う方法は、筋肉の収縮を目的とし、パンプアップ効果が高くなります。
しかしパンプアップは筋肉の疲労を引き起こすため、早い段階でパンプを得ると残りのルーティンの効果を低下させてしまいます。

チーティングはセットの仕上げに使うと効果的ですが、チーティングも早い段階で使ってしまうと疲労や不正確なフォームを招き、筋肉に必要とする刺激を与えられなくなってしまいます。

そのためパンプアップやチーティングを利用するのであれば正しく使わなければ逆効果となります。

そのため、原則として動作範囲を制限して行う方法は、ルーティンの最後に取り入れるようにしましょう。

 

5、トレーニングをやりすぎている(または不足している)

① トレーニングをやりすぎている

日頃から非常に追い込んでハードなトレーニングを行っているとすれば、怪我をする可能性も高くなります。

過度なトレーニングは、身体作りの成果を阻むとても大きな問題です。

オーバートレーニングはよく起こる問題ですが、原因は1回のトレーニングではなく、体を適切に回復させずにトレーニングを続けた結果、引き起こされます。

そのため、ハードなトレーニングを重ねることによって蓄積される身体の疲労にも、しっかりと目を向けることが重要です。

トレーニングを週に6~7日行っているの方であれば、6週間に1回トレーニングを週2~3日とする週を組み入れるようにしてみましょう。

ドロップセットや燃焼法、スーパーセットといった高強度テクニックを使ってレップやセットを延長して行う方法をよくとっている方であれば、1回のトレーニングで1つの筋群だけにトレーニング強度を上げるテクニックを適用し、トレーニング間に筋肉を適切に回復させるようにしましょう。

トレーニングはハードに行わなければいけませんが、闇雲に追い込むのではなく、身体の回復とのバランスをとりながらトレーニングしていくことが重要です。

② トレーニングが不足している

トレーニングを十分に行っていない場合、そもそもトレーニングの成果を得られません。

トレーニングを軽めに行うという意味は、トレーニングを簡単に済ませることではなく、軽負荷を使って適切に計画されたプログラムで行うということです。
目的は筋肉の回復を促進し神経系の働きを強化する (筋肉の働きを向上させる) ことです。

短時間で鍛えるトレーニングの場合も、適切な方法で行えばとても高い効果を上げられるのですが、急いで短時間で済ませるようなことをしていれば、トレーニングの成果が得られなくなることは言うまでもありません。

このような事態を避けるためには、時間の制限内で常にしっかりと追い込み、その後しっかりと体を回復させるようにすることです。

トレーニングの過剰も不足も同じ問題の対極の現象であり、必要十分な努力をしていなければ、得られる成果も半減します。
さらには、そこでたくさんの言い訳が生まれ、それが悪習をさらに助長していくことになるのです。

トレーニングで筋肉の成長を阻む【5つの要因と対策】まとめ

今回取り上げた『トレーニングで筋肉の成長を阻む5つの要因』
全ては身体の回復がとても重要だということです。

不適切な栄養摂取、動作フォームやテクニックの勘違いなど、結局は身体の回復の問題につながります。

トレーニングを行う前、中、後の行動の全てが身体の回復に関わってくるのです。

回復に関わるもう一つの重要な要素が、計画を立ててそれをしっかり実践すること。

しっかりと計画されたルーティンでトレーニング成果を最大限にし、マイナス要素を最小限に抑える。

そして遅発性筋肉痛にも注意を払う。
筋肉に痛みが残っている間はその部位のトレーニングは行わず、同じ部位を2日続けてトレーニングしないこと。

ケガに注意を払い、トレーニングできなくなる事態を避けること。
最悪ケガをしても、トレーニングを全く止めるのではなく、上手くケガと付き合いながらトレーニングする方法を模索する。

そして身体の回復を最大限に引き出すために、共同して働く筋肉 (プル動作での背中と上腕二頭筋など) を一緒にトレーニングするか、あるいは2日以上の間隔をおいてトレーニングするようにしましょう。

トレーニングを終わるタイミング、中断するべきタイミングをしっかりと見極め、簡単にあきらめないことです。
もしケガをした場合は確実に治してからその部位のトレーニングを再開するようにしましょう。

◆ 習慣を変えてトレーニングの成果を上げるために

トレーニングに関わる悪習を断つためには科学的な視点とコツの両面から取り組むことが重要です。

科学的な視点は、回復やバランスのとれた栄養摂取、適切な計画を重視し、実践すること。

そして悪習を断つためのコツは、鏡に自分の姿を映してみたり、フォームを友人にチェックしてもらう、負荷を軽くする、レップスピードを遅くするといった方法が挙げられます。

トレーニングに関する誤った習慣は、トレーニングを続けていくうちに知らず知らずに身に付けてしまういます。
常に自分を客観視し、間違いにできるだけ早く気づき、誤りを見つけたらすぐにただし、習慣にならないようにすることが大事です。

誤りを正すために重要なのは、常に向上心を持つこと。

あきらめず、成功を目指してトレーニングに取り組みましょう。

現役ボディビルダーであり、整骨院院長である私の 「身体のメカニズム基づいた再現性の高い体脂肪燃焼方法」 は、こちらのnoteで全て公開しているので、気になる方は読んでみてください。