コンテスト最終調整

ボディビルコンテスト前の水抜き方法【減量の最終調整】

ボディビルコンテスト前の水抜きをする方の参考になれば幸いです。

ボディビルコンテスト前の水抜きとは

「水抜き」とは体内の水分量を減らすことです。

水分摂取を控え、サウナスーツを着て、半身浴をする。
そして汗を沢山出せば体内の水分は抜けます。

 

しかし、本来の水抜きはそう単純ではありません。

体内から水が抜ける仕組み

体内から水分を抜く際には、水分摂取がとても重要です。

水分の摂取を控えると、体内の水分量を維持するためにアルドステロンやバゾプレッシン (抗利尿ホルモン) というホルモンが分泌され、体内からの水分の排出が抑えられます。

アルドステロン、バゾプレッシン (抗利尿ホルモン) は、塩分の排出 / 貯留を支配しており、水分が極端に制限されたり、慢性的に欠乏することで分泌され、塩分が体内に貯留してしまうのです。

これは水不足に対する体の防衛反応であり、塩分を貯留することにより体の水分量を維持しようとするのです。

体内から水分をしっかり排出するには

■ ウォーターローディング
■ ナトリウムローディング

というテクニックを使い、身体から水分を抜いていきます。

ウォーターローディング

ウォーターローディングは、コンテストの1週間前程から大量の水分を摂取し、逆に体から水分が排出しやすい状態を作る方法です。

数日間にわたり、水分を大量に摂取することによって体内の水分量が高くなると、ホメオスタシス (体内の恒常性) が働きます。

アルドステロンレベルが下がり、ナトリウムと水が失われ、水分排出能力が高まり、体内から水分を積極的に排出しようとする働きが高まります。

この『体内から水分を積極的に排出しようとする働き』が高まった状態で水分摂取量を制限することにより、体内から一気に水分が排出される状態を作り出します。


◆ ウォーターローディングの方法

1⃣ コンテストの約1週間前から、目安として男性3~4リットル、女性2~3リットルの水分を摂取する。摂取する水分量は、体格や普段の水分摂取量によっても変わりますので、普段以上に水分を摂取するようにします。
2⃣ コンテスト前日は水分摂取量を1~2リットルに控える。

※ 1日に10数リットル以上の水を飲むと水中毒(低ナトリウム血症)を引き起こす恐れがあるため気を付けて下さい。

◆ 塩抜きについて

ウォーターローディングを行った場合、過剰にナトリウム (塩分) を摂取してない限り塩抜きは必要がありません。

ウォーターローディングを行うことで、体内のナトリウム濃度は低くなり、実際にナトリウムをカットしたとしても、ナトリウムが枯渇することでアルドステロンが分泌され、アルドステロンは体内の水分とナトリウムを保持する働きがあるために血中ナトリウム濃度は一定に保たれます。

ナトリウムローディング

ホメオスタシス (体内の恒常性) を利用した水抜き方法として、ナトリウムローディングという方法もあります。

前述した塩抜きで説明しましたが、ナトリウム (塩分) の摂取を控えることで、アルドステロンの分泌が増え、結果的に水が抜けにくい状態となります。

そのため、ウォーターローディングと同じく「ナトリウムの摂取量を一時的に増やし、直前でカットする」という方法を使います。

◆ ナトリウムローディングの方法

1⃣ 10日程かけてナトリウム摂取量を増やしていく (3割程度)
2⃣ コンテスト前日 (24時間前) からナトリウムをカットする。
3⃣ 水分摂取もコンテスト前日から1~2リットルに控える。

◆ カリウム摂取により水分を排出

カリウムには余分なナトリウムを排出する働きがあります。

カリウムは腎臓でナトリウムの再吸収を抑制し、尿中への排泄を促進させる働きがあります。

カリウムを多く摂ることで余分なナトリウムが排出され、体内の水分が抜けやすくなります。

カリウムの多い食材としては野菜、イモ類、果物、大豆製品など、サプリメント摂取もおススメです。


利尿剤を使ってもダメな理由

利尿剤を使うということはドーピング違反ですが、中にはコンテストでなるべく身体のキレを出そうとして余分な水分をカットするために利尿剤を使っている人もいます。

利尿剤は、筋肉の痙攣や、心拍の乱れ、、血糖値の上下を引き起こす事があります。

身体が仕上がらない (キレているように見えない) 、それは本当に体内の過剰な水分、浮腫みのせいでしょうか?

ほとんどの場合、利尿剤を使っているボディビルダーは、体脂肪を落としきれていないだけで、身体にはそれほど水分を含んでいないのです。

利尿剤には下記の2つのタイプがあります。

① アルドステロンを抑制し体内の水分を排出
② ナトリウムを排出し体内の水分を排出

一つは、アルドステロンと呼ばれるホルモンを抑えるもの。

アルドステロンレベルが高くなると、体はナトリウムを保持しようとします。

逆に、薬の使用によりアルドステロンレベルが低くなると、体はナトリウムを体外に排出しようとします。

ナトリウムは体内に水を引きつける性質があります。

そのためナトリウムを失うと体内の水分も後を追うように失われてしまうのです。

もう一つはナトリウムの排出とともに、大量の水分排出を引き起こすものです。

このタイプの利尿剤を使っているボディビルダーは、きちんと絞れているならよりハードに見せることができます。

しかしこの利尿剤によるシャープさはほんの一時的なものです。

体から水分が失われると同時に、アンチ利尿ホルモンと呼ばれる別のホルモンが分泌されるからです。

このホルモンの役割は、体内に水分をとどめ、利尿剤の水分排出作用に対抗することです。

ですから結果として、利尿剤の使用によりシャープなコンディションが得られたとしても、一旦バゾプレッシンが分泌されると、水分を保とうとする方向に向かうので体はスムーズになってしまうのです。

これによって生じる問題は、その時々で違った反応をするためにコンディションの予測ができないということです。

バゾプレッシンが利尿剤を摂った二日後に分泌されることもあれば、数分後に分泌されることもあります。

これが、あるコンテストではすごいカットだったのに、次のコンテストではスムーズだったなどということが起こる理由なのです。

また、これが原因でピークを逃す者もいます。

一日良くても、翌日はスムーズになってしまう事があるからです。

また利尿剤は、炭水化物を筋グリコーゲンとして筋肉内に蓄える能力を抑えてしまうので、筋肉がフラットになってしまいます。

そして利尿剤は水分を排出する際、あまり選別的とはいえません。

皮下から水分が失われた場合はよりハードに見えますが、筋肉内の水分が失われた場合は筋肉がフラットになってしまいます。

これは利尿剤を使用した場合、水分はしばしば皮下と筋肉の両方から失われるからです。

筋肉から水分が失われると筋肉がフラットに見えます。

こういったフラットな状態では、バリバリに仕上げることはできません。

なぜなら、ディフィニションをハッキリ出すには、脂肪(そして水分)の量は最小限に抑えつつも、筋肉は最大限フルな状態に保たなくてはならないからです。

このように、利尿剤を使ったボディビルダーは筋肉からも多くの水分を失うので、思ったほどハードに見えないという結果に終わることが多いのです。

それゆえ、彼らの中にはハードさを出すためにさらに利尿剤を使う者もいます。

が、結果は悲惨なもので、コンディションはさらに悪くなるばかりなのです。

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現役ボディビルダーであり、整骨院院長である私の 「身体のメカニズム基づいた再現性の高い体脂肪燃焼方法」 は、こちらのnoteで全て公開しているので、気になる方は読んでみてください。