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体のコンディショニングには腸内環境改善が必須である

栄養素に気を使っている方は多いと思われますが、どれほど良い栄養素を摂っていたとしても、腸内環境が悪ければその効果は低下してしまいます。そこで今回は腸内環境の改善には欠かせない食物繊維についてまとめてみます。

コンディショニングのBIG3

腸内環境の改善に特に重要なのが『食物繊維』『乳酸菌』『グルタミン』です。

特に一年を通して長いシーズンで行う競技の場合は、体のコンディションを常に高い状態でキープしなければならないため、この3つの栄養素は必須と言えます。

もちろん、糖質、タンパク質、脂質の3大栄養素のバランスを考えたうえでの話です。

食物繊維とは

食物繊維と言えば女性に必要なイメージですが、食物繊維=女性というのは便秘が女性に多いから、といったところでしょうか。

これには、男女の腸の長さの違いや水分摂取量などの生活習慣も影響しています。

便秘と下痢は全く逆の症状ですが、解決方法はどちらとも腸内環境の改善です。つまり、食物繊維は便秘のみならず、下痢の症状にも有用な栄養素であり、男女問わず必要な栄養素です。

食物の中には栄養素として体内に吸収されて効果が表れるものがほとんどですが、中には吸収されずに排出されてしまうものもあります。

その一つが食物繊維です。

しかし、体内に吸収されないからといって意味がないわけではなく、実は様々な有益な影響をもたらしています。食物繊維とは“食品に含まれている人の消化酵素では消化されない高分子成分”と定義されています。

口から摂取した食物繊維は、胃液や胆汁などの強力な酸や消化液では消化されず、大腸までほぼそのまま辿り着きます。以前、食物繊維は「食物のカス」として体には不要な物質と考えられていた時代もありました。しかし、現在ではその真逆ともいうべき、身体に有益な影響を及ぼす栄養素であることが証明されています。

食物繊維には大きく分けて、水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維に分かれます。一般的に食物繊維は便通改善に良いとされていますが、不溶性と水溶性では、そのメカニズムは違うのです。

不溶性と水溶性の違い

〇不溶性食物繊維

不溶性食物繊維は水に溶けることはありませんが、腸内で水を吸って膨らみます。膨らんだ食物繊維はボリュームが大きくなることで腸管を刺激し、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発化させます。腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発化することで便が排出されやすくなり、それと共に有害物質も排出されやすくなります。

〇水溶性食物繊維

水溶性食物繊維は腸内細菌の力を借りることで便通を改善させます。人の腸内は不溶性食物繊維を分解する細菌は少ないのですが、水溶性食物繊維を分解する細菌が多く存在します。この水溶性食物繊維を分解する細菌が乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌といわれる腸内細菌です。水溶性食物繊維が腸内の善玉菌によって分解されると、菌が短鎖脂肪酸を産生→短鎖脂肪酸が腸管を刺激→腸の蠕動(ぜんどう)運動が活発になる→便通改善となります。

不溶性食物繊維は摂り過ぎることで腹痛、下痢などが起きやすいのですが、水溶性食物繊維の場合、自然な働きかけで腸管を刺激するので、下痢や腹痛などは起きにくいです。

腸内環境への影響

食物繊維は便通改善以上に大事な働きとして、腸内環境を改善する働きがあります。

腸内には善玉菌(乳酸菌、ビフィズス菌など)の他に、ウェルシュ菌やクロストリジウム菌などのように脂肪やタンパク質を栄養源として有害物質を排出する菌があります。腸内環境は存在する菌の比率によって左右され、善玉菌が栄養分として水溶性食物繊維を分解して取り込むことで善玉菌は活発化し、結果として腸内環境が良好になります。また、善玉菌が食物繊維を代謝するときに、短鎖脂肪酸や乳酸を排出して腸内が弱酸性に傾きます。善玉菌は弱酸性の環境下で活発化するため、食物繊維により善玉菌がどんどん増えていきます。一方悪玉菌は酸性環境に弱いので数が減っていきます。結果的に水溶性食物繊維を摂ることで腸内に善玉菌が増え、悪玉菌が減っていくので腸内環境が改善されるのです。このように腸内環境の状態をよくする物質をプレバイオティクスと言います。

ボディメイクにとっての重要性

腸管の環境が改善されることによって、他の栄養素の吸収も活発化することになります。食事をしっかり摂っているのに体重が増えない、体調が良くならない、下痢をしやすいという悩みを持たれている方がいらっしゃるかもしれません。ある程度頑張って食事をしているのに伸び悩んでいるのであれば、腸内環境に着目して食事を見直すのもひとつかもしれません。原因として、腸内環境が良くないため、消化管からの消化吸収が低いという事が考えられます。食べ物を口から摂取しても体に吸収されていない状態では意味がないのです。

消化管の働きが弱い人はいくら完璧なバランスの栄養素を摂ったとしても体の中に取り込まれない為、無駄になってしまっていることになります。腸内の環境を整えておくことで、口から摂った栄養を十分に体内へと取り込むことができます。そのためにも、水溶性食物繊維を摂取することで“腸管力”を上げることが大事になります。腸管力が上がると、食物の吸収量が上がるだけでなく、免疫力も上がります。

ハードなトレーニングを行うアスリートは一般の人よりも免疫が落ちやすく、病気になりやすいと言われています。腸管は口から消化管に入った病原菌にとって体外からの格好の侵入経路になるので、腸管力を上げることで病原菌の侵入を防ぐことができます。腸管力は特別なトレーニングで鍛えられるものではなく、食事内容によって上がります。そのためにも食物繊維を摂取して腸を鍛えていく必要があるのです。

そのほかにも大腸がんの抑制、カルシウムや鉄分などのミネラル吸収を促進、糖の吸収を緩やかにするなど、さまざまな機能が食物繊維にはあります。

このように重要な役割をいくつも持つ食物繊維ですが、現実的に摂取量は足りていないことが多いです。アスリートの為の栄養・食事ガイドラインではエネルギー別の栄養素の目標値として食物繊維は食事摂取カロリー1000kcalあたり8~10gとされています。これは1日に2500kcal必要な人であれば、25gの食物繊維が必要という事になります。しかし、実際の日本人の食物繊維摂取量は成人で10~15g程度です。元来日本食は食物繊維を摂るには最適な食事ですが、欧米食が増えた現代では日本人全体の食物繊維摂取量は減少してしまっています。また、一般の人と比較して特異な食事内容をしているボディビルダーやアスリートの場合は、意識しないとさらに減少してしまう傾向が考えられます。

食物繊維は、アスリート、特に男性にとっては糖質やタンパク質に比べて優先順位が下がってしまいがちですが、体調を整えて最高のパフォーマンスを発揮するためには必要不可欠といえる栄養素です。

食物繊維の摂取方法

摂取方法は当然普段の食事から意識して摂ることが前提となりますが、減量などで食事が難しい場合などは、食物繊維を含むサプリメントを検討してみることも良いかもしれません。また、腸管免疫に注目される場合は、食物繊維に加えて前述の乳酸菌も合わせて摂ることで、善玉菌と善玉菌のエサが同時に入ってくることになるので、二重の免疫強化を図ることができます。

まとめ

食物繊維は大きく分けて2種類あり、一つは水に溶けるタイプの水溶性食物繊維、もう一つは水に溶けないタイプの不溶性食物繊維です。

水に溶けるか否かという違いではありますが、それぞれ役割が異なり、便秘改善にいいのは不溶性の食物繊維となります。繊維質な野菜や穀物に多く含まれていて、サツマイモ、ゴボウ、玄米、たけのこ大豆、ブロッコリーなどに豊富です。

水に溶けないという事で逆に吸水性が高く、腸内で大きく膨らんで腸壁を刺激して、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にしてくれます。

一方で水溶性の食物繊維は一般的な野菜や果物に多く、腸内の有害物質やコレステロールを吸着して排泄してくれます。また腸内善玉菌のエサとなりやすく、腸内環境を整えるという効果も発揮してくれます。便秘には不溶性の食物繊維と書きましたが、それはダイレクトな効果という意味で、実はどちらのタイプも便秘対策には重要となります。不溶性と水溶性は2:1程の比率がいいとされていて、それぞれの役割がトータルで腸内環境を改善して便秘を解消していきます。

腸は本当の栄養の入口でもあり、ここが元気を失っているという事はどんなに素晴らしい成分でも体内でしっかりと活用されません。便秘は腸内の渋滞状態、下痢は腸内の暴走状態ですから、食物繊維をしっかりと摂って最高の腸内環境を目指してください。

追伸 現役ボディビルダーであり、整骨院院長である私の 「身体のメカニズム基づいた再現性の高い体脂肪燃焼方法」 は、こちらのnoteで全て公開しているので、気になる方は読んでみてください。