肥満はよく問題視されますが『 痩せすぎ 』も深刻な問題です。
最近では女性の痩せ傾向が世界的に進んでおり、ファッションモデル業界でも痩せすぎに対して規制がかけられています。
特に先進国の中で最も痩せ過ぎが多いのが日本といわれています。
痩せた女性は糖尿病発症リスクが高い
女性の8人に1人、20代では5人に1人が体格指数18.5未満の『痩せ』と判定されています。
筋肉は体の中でブドウ糖を貯蔵する最大の臓器ですが、痩せた女性は筋肉の量や筋肉の質の低下が低く糖尿病発症リスクが高くなります。
■ 痩せた女性の糖尿病発症リスクが高い理由
① 痩せている女性は、筋肉量が少なく、食後に十分な量のブドウ糖を筋肉内に取り込むことができず、高血糖を生じる。
② 筋肉内への脂肪蓄積は筋肉の質の低下を引き起こし、ブドウ糖をうまく取り込めず、高血糖を生じる。
痩せた女性は太っている女性と同様に糖尿病発症リスクが高い
痩せているから健康ではなく
「 痩せた女性は太っている女性と同様に糖尿病の発症リスクが高い 」
ことが、アメリカの内分泌学会誌『Journal of the Endocrine Society』でも報告されています。
研究対象になった参加者は
◆ 20代の痩せた女性31人
◆ 50~65歳の閉経後の痩せた女性30人
※ 20代は痩せた女性の割合が最も高い年代、50~65歳は閉経後に糖尿病リスクが高まるという理由です。
参加者は75g経口ブドウ糖負荷試験(糖尿病の検査)を受け、DXA法により体組成検査、そしてプロトンMRS法による異所性脂肪測定を受けた。
※ DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法):骨密度や筋肉量、脂肪量を測定する方法
※ プロトンMRS法:MRI検査の一つ
※ 異所性脂肪:脂肪の多くは皮下や内臓の脂肪組織に蓄えられるが、それ以外にも肝臓や筋肉など異所にも蓄積される。そうした脂肪を異所性脂肪と呼ぶ。異所性脂肪の蓄積は、溜まった脂肪による毒性によりインスリン抵抗性が生じると考えられる。
その結果、20代の痩せた女性と比較して、痩せた閉経後の女性では糖負荷2時間後に140mg/dl以上となる耐糖能異常が37%との結果となった。
同年代女性の平均は17%なので2.17倍高い数値です。
さらに、高血糖になりやすい人はインスリン分泌が低いことに加え、徐脂肪体重(脂肪を除いた体重)が少ない人、筋肉細胞内に脂肪が蓄積している人であった。
『痩せ』を改善する2つの方法
『痩せ』は糖尿病に限らず、無月経や骨粗しょう症など、さまざまな疾患を引き起こすので、体組成を適切にしていかなければなりません。
「痩せ」を改善する方法は大きく2つあります。
① バランスの取れた食事
痩せの原因として最も大きな問題が栄養摂取不足です。
そのため、バランスの取れた食事(食事改善)が必須です。
最近多いのは極端な炭水化物制限などです。
体に必要な糖分を産生・供給するために必要な筋肉を分解してしまったり、タンパク質の摂取不足により筋肉量の低下、高齢者でみられるサルコペニアと同レベルまで筋量が低下する若い世代が問題になっています。
※ サルコペニア・・・加齢や疾患により、全身の筋肉量が低下すること。また、歩行スピードの減少や杖、手すりが必要になるなど、身体機能の低下が起こることをいいます。
② 運動の習慣化
正しい食事バランスに加え、筋肉量を増やす運動への取り組みが重要です。
痩せた女性が糖尿病の発症を予防するために、『筋肉の量を増加』『筋肉の質の改善』を目指して、適切な食事バランス、運動を行うことが重要です。
