最近注目のサプリメント『HMB』について詳細に解説していきます。
筋肉をつけたい男性だけでなく、女性の美容にもメリットのあるサプリメントです。
しかし『HMB』は賛否両論あり、迷っている人も多いはず。
正しい知識で、HMBを理解できる記事となっております。
HMBとは
HMBとは必須アミノ酸『ロイシン』の代謝産物であり、β-Hydroxy-β-Methylbutyric acid(β-ヒドロキシ-βメチル酪酸)の頭文字をとった略称です。
簡単に言えば、HMBとはタンパク質が分解され、細かくなった成分の名称です。
分解の過程はこのようになります。
肉・大豆・乳製品→プロテイン→ロイシン→KICケトイソカプロン酸→HMB
HMBの効果
HMBには様々な効果があります。
特に筋肉の合成・分解のシグナル伝達に関与することが大きな特徴です。
筋肉の合成増加(筋肥大)
mTOR(エムトール)という酵素を介したシグナル伝達回路があり、HMBはこのシグナル伝達回路のスイッチをONにすることにより、筋タンパクの合成を高めることができます。
筋肉の分解抑制
ユビキチン・プロテアソーム系というタンパク分解経路があり、HMBはこのタンパク分解経路のスイッチをOFFにすることで筋肉の分解を抑えてくれます。
特にダイエット・減量中は筋肉が落ちるのを防いでくれる効果が高く、体感も得られやすいのが特徴です。
細胞膜の安定化
トレーニングをすることにより、細胞膜に炎症が起きて細胞の破壊が進みます。そのため、HMBを摂取することにより、細胞膜の安定性が高まり、筋肉の分解を抑えることにより、筋肉量を効果的に増やすことができます。
筋細胞の細胞膜の安定化については、コレステロールについて触れる必要がある。
コレステロールは、ステロイドホルモンや細胞膜の合成に用いられる重要な成分だが、損傷した筋肉組織では、十分なコレステロールが合成されないと考えられ ている(※4)。
HMBは、体内でのコレステロール合成において筋肉組織内のコレステロール合成を促進し、合成されたコレステロールは、損傷した筋細胞の 細胞膜の再生に利用され、筋肉組織が速やかに安定化されるのではないかと報告されている。(※4、※5)
筋損傷の回復効果
HMBを摂取することで、クレアチンキナーゼや乳酸脱水素酵素などの筋損傷を示す値が低下します。
しかしこの研究報告では、被験者がトレーニング初心者であったことがちょっと引っ掛かります。
普段からハードにトレーニングを行っている上級者の場合、高強度に慣れているため、効果が薄くなる可能性もあります。
ですが、トレーニング初心者の場合、HMBの回復効果はとても高いということは確実です。
脂肪量の減少効果
HMBはダイエットや減量など、カロリー制限中に、筋肉量を維持しつつ、脂肪を減少させる効果があります。
美肌・シワ予防効果
HMBを摂ることで効率的に肌細胞のタンパク合成を増やすことにより、肌細胞のターンオーバーを促進するのです。
その理由は、HMBには『NF-κB』を阻害する作用があり、炎症を防止してくれるためです。
肌細胞は加齢によってコラーゲンが老化するときに『NF-κB』の作用でシワができます。
HMBはコラーゲンの老化を抑え、シワを防いでくれます。
※HMBと組み合わせの良い美肌成分
ピクノジェノール
ピクノジェノールは抗酸化作用が高く、コラーゲンやヒアルロン酸の合成能力を高めることで、肌の保湿力・弾力性を高めてくれる作用があります。他には月経前症候群(PMS)、生理痛、うつ症状の軽減、チロシナーゼを抑制することによりメラニン色素を抑制、肌の美白効果を高めます。
HMBの摂取方法
HMBは効果がある・ない論争の激しいサプリメントでもあります。
しかし、それは摂取方法にも問題があるのです。
HMBの効果的な飲み方
1回550㎎を2~3時間おきに6~12回に分け、1日3~6ℊを目安に摂取する。
このような摂取方法により、HMBの血中濃度を高い状態でキープすることができます。
HMBはサプリメントの中でも値段が高いので、人によっては効果的な飲み方は出来ないという方もいるかもしれません。
サプリメントは精製過程がかかる程値段も高くなっていきます。HMBはプロテイン→ロイシン→KICケトイソカプロン酸→HMBのように、細かく分解され、分子が小さい成分の為、消化吸収がとても早く、摂取しても血中の濃度はすぐに落ちてしまいます。
そのような場合には、ハードにトレーニングをする時期に飲むとよいでしょう。
HMBは軽いトレーニングでは効果があまりないと言われています。
しかし、ハードにトレーニングし、疲労が強く筋肉の分解作用が強くなるような場合にはHMBの効果をより体感しながら効果を得られることでしょう。
HMBの安全性
国際スポーツ栄養学会によると「HMBは人体に全く問題ない成分である」と結論がでています。
HMBはアミノ酸の一つであるロイシンの代謝物のため、人体に悪影響を及ぼす可能性は低いと言われています。
医学界の論文でもHMBを適正量の2倍を1ヶ月間摂取した後に健康診断を行う実験がありましたが、人体になんら悪影響は見られず、HMBの無害性を証明する実験となりました。
HMBが賛否両論な理由
初心者を狙った誇大広告による影響
サプリメントは怪しいと思っている人の大多数は『誇大広告』による影響だと思います。
『プロテインの20倍の効果!!』
『飲むだけで痩せるorマッチョになる!!』
とかよく聞きますよね(笑)
そんな誇大広告について考えてみましょう。
HMBはプロテインの20倍の効果?
実際に計算してみます。
前述の説明で、HMBは1日に3~6gを目安に摂取すると効果的と説明いたしました。
HMBはロイシンが代謝される際に約5%作られます。
1日の目安量であるHMB3~6gを作るためにはロイシン60~120gが必要です。
ということは
ホエイプロテイン1杯20ℊ中のロイシンは約0.488ℊ
ロイシン0.488ℊ中のHMBは約0.026ℊ
HMB3g/1日=プロテイン116杯分
HMB6g/1日=プロテイン232杯分
ということになります。
20倍どころか116倍になってしまいましたね・・・。
しかしプロテインは様々なアミノ酸で構成されているため、この計算でプロテインの○○倍の効果!!という認識は間違ってます。
一部分だけを抜き出して大げさな表現にする。
これは立派な誇大広告
HMBは飲むだけで痩せるorマッチョになる??
これはHMBに限った話ではありません。
サプリメントは飲むだけで劇的な変化など起きません。
何故ならサプリメントは『健康補助食品』だから。
ダイエット・減量の栄養管理には【優先順位】が存在します。
①カロリー収支
②三大栄養素のバランス
③微量栄養素+水分
④食事回数+タイミング
⑤サプリメント
栄養管理を行うの中で、サプリメントの優先順位は最下位です。
勘違いされている方がとても多いのですが、サプリメントは上記①~④が整っていることが前提条件で効果を発揮してくれます。
『飲むだけで!!!』という謳い文句は
これも立派な誇大広告
が、そもそもこれは引っかかる方にも問題があるような気もしないでもないです・・・。
おすすめのHMBサプリメント紹介
HMBサプリメントはタブレットタイプと粉末タイプがあります
HMBに限らずEAA、BCAAなど、アミノ酸の粉末は結構苦いものが多いです。
苦みが苦手な方はタブレットタイプがおススメ。
量を自由に調節したい方は粉末タイプがおススメ。
HMBサプリメント(タブレット)
HMBサプリメント(粉末)
HMBと一緒に(女性用)
現役ボディビルダーであり、整骨院院長である私の
「身体のメカニズム基づいた再現性の高い体脂肪燃焼方法」
は、こちらのnoteで全て公開しているので、気になる方は読んでみてください。

